【book】アントニー・バートン(著)、角倉一朗(訳)『古典派の音楽──歴史的背景と演奏習慣』(音楽之友社)

同じ著者、訳者のコンビによる『バロック音楽──歴史的背景と演奏習慣』に続く第2弾。古典派音楽を歴史的に位置づけた第1章、記譜法と解釈を論じた第2章、資料やエディションについて論じた第7章のあいだに、鍵盤楽器(第3章)、弦楽器(第4章)、管楽器(第5章)、歌唱(第6章)という各論が挟まれる構成になっているつくりも前巻と同様。各論はそれぞれの分野の第一線で活躍する演奏家が執筆。写真や譜例も豊富で、この分野の音楽を演奏するさいに、まず参照すべき基本的な事項がおさえられたハンドブックになっていると思います。

それにしても、角倉一朗さんのここのところの訳業のハイペースさには瞠目させられます。鍛え抜かれた選書眼と翻訳の確かさ、読みやすさで、欧米の一級の音楽書を読むことができるのはほんとうにしあわせなことです。

http://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=140640

[木村]