【book】後藤暢子(著)『山田耕筰──作るのではなく生む』(ミネルヴァ日本評伝選、ミネルヴァ書房)

http://www.minervashobo.co.jp/book/b181465.html 「ついに」という言葉がこれほどふさわしい本は、そうそうあるものではありません。版元の立場からすれば、刊行に時間がかかることは、できることならば避けたいことに違いありませんが、巻末に記載されたこの「ミネルヴァ日本評伝選」のラインナップを見れば、版元もあるていど時間がかかることを覚悟し、計算に入れて、依頼をしているであろうことが伝わってきます。評伝を書くことは、依頼された「専門家」が、その対象である人物と「ともに歩む」時間をどうしても必要とするのでしょう。「史実をふまえて記述された最初の山田耕筰伝・・・

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【book】吉本秀純(編著)『アフロ・ポップ・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンタテイメント)

アルテスから出版した荻原和也さんの『ポップ・アフリカ700』→『ポップ・アフリカ800』(8月25日発売)が、アフリカのミュージシャンによるアフリカの音楽を網羅した正統派のリファレンスだとしたら、こちらはアフリカの外に出ていったアフリカ音楽のさまざまな展開を現在進行形で追いかけた、ムック形式のアフリカ音楽ディスクガイド。高橋健太郎さん他のコラム、欧米のポップ・ミュージックやジャズとの関係、あるいはミュージシャンが選ぶフェイヴァリット・ディスクなど企画も盛りだくさんで、折に触れひもといては楽しませてもらってます。コンセプトの異なる2冊がほぼ同時期に刊行されてとっても喜ばしいです。[鈴木] ht・・・

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【book】広瀬大介(著)『楽譜でわかるクラシック音楽の歴史──古典派・ロマン派・20世紀の音楽』(音楽之友社)

http://www.amazon.co.jp/dp/4276110181 ありそうでなかった楽譜でたどるクラシック音楽史。音楽書の読者には楽譜があると敷居が高く感じる人と、逆に楽譜があったほうが理解しやすいという人と両方いると思いますが、できれば前者の方々に読んで──いや、眺めてもらいたい本です。だって、作曲家が自分の意志でかたちにできるのは楽譜までなんですから。絵として眺めるだけでも、作曲家たちがその音楽に込めようとした思いが伝わってくると思います。掲載されているのは前古典派のC.P.E.バッハから20世紀前半の新ウィーン楽派まで、バロック以前および第二次世界大戦以降の現代音楽はいさ・・・

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【book】奥中康人(著)『和洋折衷音楽史』(春秋社)

『国家と音楽』(春秋社、サントリー学芸賞)、『幕末鼓笛隊』(大阪大学出版会)に続く奥中康人さんの第3作は、雑誌『春秋』に連載されたエッセイを中心にまとめられた本。「日本音楽史の正統な継承者は、現代邦楽や日本のクラシック音楽ではなく、歌謡曲やチンドン屋のほうが相応しいのではないか」(「序にかえて」より)という問題意識につらぬかれた刺激的な文章が並んでいます。 http://www.amazon.co.jp/dp/4393935837

【music】ヲノサトル『ロマンティック・シーズン』(ムードコア)

本誌で好評連載中の「電子音楽クルージング」で有馬純寿さんとの軽妙な対談を展開しているヲノサトルさんがニュー・アルバムをリリース。最新作は、甘くムーディな電子音楽=ムード・エレクトロです! 以下、リリースより: シンセサイザーやコンピュータを駆使した最先端の電子音響でありながらも、どこか懐かしく甘いラテンやラウンジ、フュージョンの空気。そんな大人のインストゥルメンタル・ミュージックが、明和電機をはじめ様々なプロデュースで活躍するヲノサトルの「ムード・エレクトロ」な世界。清涼感とロマンティシズム漂うエレガントなテクノ・サウンドは、この夏に最適のBGM! CDに先行して、オンラインではハイレゾ音源・・・

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【CD】『我が国最初の「ショパン弾き」澤田柳吉の世界──作品篇・演奏篇』(ミッテンヴァルト)

明治39年、東京音楽学校を卒業し、日本人初のピアノリサイタルを開催し「ショパン弾き」としても知られた澤田柳吉。彼の残したピアノ曲、声楽曲の新録音に、ピアニストとしてSP盤に残した録音を復刻しカップリングした2枚組。澤田柳吉研究の第一人者でアルテスから先ごろ『日本人とショパン』を上梓した多田純一さんの監修により、初めてリリースされた価値あるCDです。 タワーレコードの商品ページへ

【新刊】久保田慶一・大類朋美(著)『音大生・音楽家のための 英語でステップアップ──音楽留学で役立つ英会話50シーン』(スタイルノート)

「ピアノのペダルを踏む」「ゲネプロ」「転調」は英語でなんといえばいいのか?──音大生や音楽家ならずとも、あるいは少しは英語に自信があっても、外国人と会話をしていて、こういう特殊なシチュエーションについて表現しようとして困った方は多いはず。さまざまなシーンに合わせたスキットで音楽関係の英語表現を学ぶ本。全体をとおして主人公のキャリアアップのストーリーにもなっていて、楽しんで読めそうです。 http://www.stylenote.co.jp/books/isbn978-4-7998-0125-3.html

アンドレ・レイノルズ(著)、大宮玲子(訳)『アンドレさんのゴスペル料理帳』(セルバ出版)

http://www.seluba.co.jp/ 世の中「ソウル・フード」流行りですが、本書は本家本元のソウル・フードのレシピ本。巻末にはゴスペルの歴史や音楽についての解説があり、牧師でゴスペル音楽の指導者でもある著者のCDも付いています。

高橋悠治+波多野睦美+栃尾克樹『風ぐるま』(Pau)

http://www.billboard-japan.com/goods/detail/455703 2012年に結成され、先日4/14におこなわれた本作の発売記念コンサートまで、年に1回(?)のペースで演奏会を開いている「風ぐるま」の待望のCDアルバム。《古い狐のうた》《あけがたにくる人よ》《六番の御掟について》といった高橋作品にくわえて、『日曜はダメよ』などの映画音楽で知られるギリシャの作曲家ハジダキスの《好きなの》や、波多野の得意曲でもあるパーセルの《Musick for a while》、栃尾の実体験をもとにしたという《網膜裂孔》(高橋作曲)などなど、ピアノとメゾ・ソプラノとバリトン・・・

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澤田義博(著)『パリのモーツァルト──その光と影』(アカデミアミュージック)

http://www.bookservice.jp/ItemDetail?cmId=6127923 現在帝京大学教授だが、大のモーツァルト・フリークで、現在モーツァルティアン・フェライン会長の著者が、長く銀行支店長としてパリに在住し、モーツァルトゆかりの地をみずからの足でたずねた経験を一書にまとめたもの。写真も多く、モーツァルト・ファンは楽しめる内容だと思います。[木村]