【book】広瀬大介(著)『楽譜でわかるクラシック音楽の歴史──古典派・ロマン派・20世紀の音楽』(音楽之友社)

http://www.amazon.co.jp/dp/4276110181

ありそうでなかった楽譜でたどるクラシック音楽史。音楽書の読者には楽譜があると敷居が高く感じる人と、逆に楽譜があったほうが理解しやすいという人と両方いると思いますが、できれば前者の方々に読んで──いや、眺めてもらいたい本です。だって、作曲家が自分の意志でかたちにできるのは楽譜までなんですから。絵として眺めるだけでも、作曲家たちがその音楽に込めようとした思いが伝わってくると思います。掲載されているのは前古典派のC.P.E.バッハから20世紀前半の新ウィーン楽派まで、バロック以前および第二次世界大戦以降の現代音楽はいさぎよく切り捨てられていますが、つまり「書かれる音楽の時代」に限っているともいえそうです。

[木村]