【book】後藤暢子(著)『山田耕筰──作るのではなく生む』(ミネルヴァ日本評伝選、ミネルヴァ書房)

http://www.minervashobo.co.jp/book/b181465.html

「ついに」という言葉がこれほどふさわしい本は、そうそうあるものではありません。版元の立場からすれば、刊行に時間がかかることは、できることならば避けたいことに違いありませんが、巻末に記載されたこの「ミネルヴァ日本評伝選」のラインナップを見れば、版元もあるていど時間がかかることを覚悟し、計算に入れて、依頼をしているであろうことが伝わってきます。評伝を書くことは、依頼された「専門家」が、その対象である人物と「ともに歩む」時間をどうしても必要とするのでしょう。「史実をふまえて記述された最初の山田耕筰伝」という著者の自負どおりの決定版が生まれました。

[木村]