【book】ひのまどか『戦火のシンフォニー──レニングラード封鎖345日目の真実』(新潮社)

http://www.shinchosha.co.jp/book/335451/

ショスタコーヴィチの交響曲第7番のレニングラードでの初演が、1942年8月9日、ナチス・ドイツによる「レニングラード900日封鎖」のさなかに、まさに極限状況下でおこなわれたことを、膨大な史料をもとにした緻密な検証によって明らかにしたノンフィクション。「音楽物語」のスタイルでの作曲家の伝記で知られる著者ですが、今回は「小説ではなくノンフィクションで」という編集者の強い意向で、一から書きなおしたとか。抑制された筆致が、現実の重みを感じさせます。巻末には演奏したレニングラード放送交響楽団のメンバーの顔写真が並んでいて、臨場感を高めています。

[木村]