ポール・ヘガティ(著)、若尾裕・嶋田久美(訳)『ノイズ/ミュージック──歴史・方法・現在 ルッソロからゼロ年代まで』(みすず書房)

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20世紀初頭の実験音楽から日本のノイズ・ミュージックや今日のグリッチ・エレクトロニカまで、まさにそれらの「歴史・方法・思想」を紹介した概説書。著者は大学で哲学と視覚芸術・視覚文化を講ずる学者で、かたわらノイズ・バンドでも活動する音楽家でもあるひと。訳者はアルテス関連でいうと『音楽のカルチュラル・スタディーズ』の監訳者で、アルテス・ウェブサイトには「反ヒューマニズム音楽論」(近々単行本化予定!)を寄稿してくれている作曲家・若尾裕さんと音楽学者・嶋田久美さん。こういう本を作曲家が訳するということ(そしてそれを音楽学者がバックアップするということ)は、とても意味があることだと思います。索引、ディスコグラフィ、文献一覧、アーティスト関連ウェブサイトなどもしっかりしていて、ノイズ系の音楽のファン、これから聴いてみたいという人には格好のハンドブックになるのではないでしょうか。

[木村]