水谷彰良(著)『新 イタリア・オペラ史』(音楽之友社)

2006年に音楽之友社から刊行された名著『イタリア・オペラ史』が、全面的な改稿(あらすじが増えているのと、2015年にいたるまでの現代作品も増えている)によってグレードアップ。「あとがき」にあるとおり、音楽学がオペラを研究対象とし始めたのはこの半世紀以内のことであり、いまでもなお、イタリア・オペラがドイツ・オペラ、なかんずくヴァーグナーの楽劇によって打倒されたとする浅薄な史観が根強いわけですが、日本においてイタリア・オペラの学的探究をほぼ孤軍奮闘といっていいかたちで続けてきた著者の記念碑的名著が、こうして書き継がれ、版を重ねていくことは、その意味でもひじょうに意義深いことだと思います。

音楽之友社|新 イタリア・オペラ史