【book】ピート・ワッキー・エイステン(著)、風間三咲(訳)『シューマンの結婚──語られなかった真実』(音楽之友社)

ローベルト・シューマンとクララ・ヴィークの結婚といえば、「頑固でわからずやの旧弊な父親から娘を救い出して結婚!」というニュアンスで繰り返し語られますが、ほんとうにシューマンは「白馬の騎士」だったのか、クララの父フリードリヒ・ヴィークはそんなに「頑固でわからずやの旧弊な父親」だったのか──当時の裁判の記録をひもとくことで、真実を明らかにしようという本が、これです。シューマンの本は多けれど、またローベルトとクララの恋愛についても多くが語られていますが、ふたりの結婚の真実が1冊の本になったのはこれが初めてでは? 「ロマン派の旗手」というシューマン像がいかにして創られたかもわかってくる好著です。

[木村]

音楽之友社|シューマンの結婚 語られなかった真実